誕生

新潟室内合奏団は、新潟市とその周辺に住むアマチュア音楽家によって1984(昭和59年)に設立されました。

当時新潟市には小編成のオーケストラがなく、モーツァルトなどの古典を演奏する機会がほとんどありませんでした。この合奏団は、モーツァルトを演奏したいと願っていた人たちの宴会の席で、酒の勢いによって生み出されたものです。

特徴

発足当時の新潟室内合奏団の特徴は、1回の演奏会ごとの完全独立採算性にありました。メンバーも固定しているわけではなく、「今度こういう演奏会を開きたいと思いますので、参加したい人は集まって下さい」という性格を持っていました。ですから、その演奏会にかかる全経費をメンバーで頭割りして会費を徴収するという形態をとっており、長く存続することが保証されているオケでもありませんでした。

このようなコンセプトでしたが、気がつけば40年近く演奏活動を続けてきて、ある程度メンバーも固定化してきていますし、また「今回の次の演奏会」を計画するためにはそれなりの運転資金も必要で、思想はともかく実体としては普通のオケと同じような運営になっています。

でも、「地元の音楽文化に寄与しよう」などということは全く考えておらず、ただ単に音楽を楽しみたいというだけの団体ですから、やっぱり明日をも知れぬ根無し草のようなオケであることには変わりはありません。


発足当時から約15年間は、原則としてコンチェルトのソリストは団員から選出する、というポリシーを持っていた、というのも特徴のひとつでした。弦楽器や管楽器のソリストはもちろん、ピアノ協奏曲のときも「ピアノが専門の当団のチェロ奏者」であったり、本職のピアニストの場合にはその演奏会だけの臨時団員という扱いにしたりしています。ですから、当団でコンチェルトをやってもギャラがもらえないどころか逆に会費を払わなければなりません。これは、本番近くなって急に現れるソリストよりも、最初から一緒に練習できるソリストを我々が望んでいたからに他なりません。

しかし、新しい世紀を迎えてから、主要メンバーの大きな変動があり、それに伴って運営の考え方や方法にも少なからず変化が現れ始めました。その変化のひとつが、このソリストに対する考え方です。団員として、仲間としてやってくれるソリスト、という観点は、どうしても世界が狭くなります。それとは別な世界にいる多くの優れた音楽家たちとの共演も可能にしていこう、と考えるようになりました。もちろん、今までのような団員としてのソリストも大歓迎ですが、それに固執することはありません。ある意味で、より自由な活動を目指すという方向へ転換しているのかも知れません。ちなみに団員ソリストは2012年のセレナータ=ノットルナが今のところ最後になっております。

2023年にホームページを移動するにあたり、少し文章を修正させていただきました。これからも仲良く、音楽を楽しむ集団でありたいと思っております。


これまでに90回近い自主演奏会の他、多くの依頼演奏会を行ってきました。主な内容は次のようなものです。

自主演奏会
モーツァルトの中・後期の全交響曲、主要な協奏曲
ベートーヴェンの全交響曲 ブラームスの全交響曲 シューベルト、シューマン、ドヴォルジャーク、シベリウス、マーラーの交響曲、など 
依頼演奏会
モーツァルトの「レクイエム」、オペラ「魔笛」「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」
ヴェルディの「椿姫」
登場した指揮者(50音順、敬称略)
浅井政尾、新井久雄、上野正博、尾崎寛尚、神成大輝、喜古恵理香、栗田博文、近藤高顯、下野竜也、神宮章、新通英洋、鈴木織衛、高橋恒彦、高橋裕之、高山健児、田久保裕一、永澤亀、本多優之、松川智哉、箕輪響、箕輪久夫、森山崇、山岡重信、山崎滋、山本郁夫、横坂康彦、吉田行地 


2019年5月の第79回演奏会は、新潟市音楽文化会館開館以来10000件目のホール利用となり、開演前に記念セレモニーが開かれました。